「人喰いの大鷲トリコ」の前作「ICO」「ワンダ」との繋がり
「ICO」と「ワンダと巨像」のファンとしては、待ちに待った「人喰い大鷲トリコ」。これをお正月中に終えました。やはり気になるのは「ICO」と「ワンダと巨像」との繋がり。
上田文人氏は、同じような雰囲気になったのは最適解の結果だと話しておられました。しかし、何かあるはずだと開発者の隠しメッセージのようなものが仕込まれているのではないかと、この3作をやり終えると夢が広がります。そのくらい世界観が似ています。
「人喰いの大鷲トリコ」クリアーやり終えて
「人喰いの大鷲トリコ」は「ICO」「ワンダ」と同じくらいの時間でやり終えることができます。それほど難しくもなく、勘がいい人ならば迷うことなく行けるのでしょうが、このようなゲームが苦手な私が迷った点は数ヵ所。
ゲームの難易度やボリュームよりも、そのストーリーに魅力を感じます。
「人喰いの大鷲トリコ」「ICO」「ワンダ」の世界観
「人喰いの大鷲トリコ」「ICO」「ワンダ」のその世界観に魅了された方も多いのではないでしょうか。その世界観に魅了されたお一人がゲーム好きの宮部みゆきさん。宮部みゆきさんはご自分から申し出て「ICO」の世界を小説化しています。
ゲーム「ICO」はプレイヤーの想像を掻き立てるゲームで、「ICO」に対する解釈はプレイヤーそれぞれですが、宮部みゆきさんのストーリー(解釈)を読むのも面白いです。
「少女」と「大鷲」
ICOでは、主人公が独りぼっちの薄暗い城の中で少女を見つけ、白い少女の手を引きながら、ストーリーを進めて行きます。古い遺跡のような城の中を、何者なのかわからない少女と手を繋ぎ、少女を守りながらというシチュエーションで、プレイヤーはその世界にグッと引き込まれてしまいます。
薄暗い城の中に白い少女。そして影と影の正体。静寂の中で聞こえるのは主人公が少女を呼ぶ声だけ。
「人喰いの大鷲トリコ」は、遺跡の中を大鷲トリコとともに進めて行きます。人喰い大鷲でありながら、首輪で繋がれたトリコを助けることから段々と主人公とトリコとの絆が深まります。
大鷲トリコはAIで行動するのですが、その行動やしぐさが本物の動物を見ているようです。また、主人公の動きを目で追うトリコのしぐさ(AIの能力)には驚きます。
「ICO」も「トリコ」も主人公と伴に行動する姿が可愛く、愛着がわきます。そして、静寂で2人(1人と1体)だけの世界。
「ICO」と「ワンダの巨像」「トリコ」の角
「ワンダの巨像」では、力を16に分割され、その力を巨像に封印されていた魔神ドルミンには角が生えていました。最後、ドルミンはワンダの体を借りて復活しますが、ワンダの体を借りたドルミンは守人によって倒されます。エンディングでワンダは赤ん坊として生まれ変わっています。赤ん坊には角が生えています。この角はドルミンの名残だとされています。
そして「ICO」では、角が生えた子供が生贄として城に連れて来られます。主人公ICOにも角が生えています。このことから、ICOはワンダの末裔ではないかという説が流れました。
また、「大鷲のトリコ」にも角が生えています。主人公が目を覚ました時には、トリコの角は折れてます。ストーリーを進めていくうちに立派な角となります。遺跡内より何か電波が発せられ、その角で受信し操られているように感じます。
神学では悪魔は角などを持つ姿や影で表現されます。
影
「神学では悪魔は角などを持つ姿や影で表現されます。」と記載しましたが、ゲームの中で影も重要な意味を持ちます。ICOでは影のようなものを戦います。またヨルダは影のようなものに連れ去らわれようとし、最後にヨルダは影と同じ姿になります。ワンダでは巨像を倒す度に、ワンダに影が取りつきます。どちらも影は重要な意味のあるものです。
何かが支配する遺跡風建物
「人喰いの大鷲トリコ」や「ワンダ」の遺跡も「ICO」の城も、外部とは遮断され閉鎖された世界で、建物自体が何者かに支配されているように感じます。古い遺跡は静寂で薄暗く、殆ど色のない世界です。
ワンダの遺跡には、魔神ドルミンが封印された巨像が存在し、ICOが封じ込まれた城には影の力が存在し、トリコの遺跡(巣)には人間を飲み込む何かが存在しています。
言葉と静寂
主人公は、作品の世界の言葉で話します。言葉の数も少なく、静寂の中で進めて行きます。
生贄
ICOはもちろんのこと、悪魔に人を提供する様が描かれています。ワンダは1人を守るために16体をも倒すという善悪を問われるストーリー展開で、1体倒す毎にワンダ自身にドルミンの魂が宿ります。つまり己自身を悪魔に差し出し、女の子を助けます。ICOは儀式としての生贄。54人の生贄を利用し、女王の後継者としてヨルダを復活させるつもりでいました。トリコでは、人喰い大鷲が石造の口に人間を投げ入れ、食べ物を貰っています。
いくつか、無理矢理ですが共通点らしき部分を探し出してみましたが、想像をかき立てられます。
ストーリーを楽しんでいただきたいゲームです。お正月明けて、値段も下がっています。